Pタイルの剥がれは、温度だけでなく、下地の水分や汚れ、接着剤の選定、塗布量、貼り付けるタイミング、圧着不足など、複数の条件によって起こります。
剥がれた部分を貼り直す前に、なぜ接着できなかったのかを確認することが大切です。
この記事では、エレベーター付帯建築工事の現場経験をもとに、低温時の施工、既存床が二重張りの場合、乗場前の床改修で確認したいポイントを整理します。
Pタイルが剥がれるときに確認したいこと
「接着剤が悪かった」「寒かったから」と、原因を一つに決めつけないことが重要です。使用した床材・接着剤と施工条件を確認します。
- 床材と下地に適した接着剤を使用しているか
- 室温・下地表面温度・材料の温度が、指定条件を満たしているか
- 下地に過剰な水分、結露、粉じん、油分などがないか
- 下地の強度や平滑性に問題がないか
- 指定された塗布量、待ち時間、貼付可能時間を守っているか
- 適切な圧着と、施工後の養生時間を確保しているか
剥がれ方や発生範囲を記録し、必要に応じて床材・接着剤メーカーへ相談します。
冬場は室温だけでなく、下地と材料の温度も確認する
RC造の建物では、暖房で室内の空気が暖まっていても、コンクリートの床面は冷えたままの場合があります。
低温は接着剤の乾燥や硬化、床材の扱いやすさなどに影響するため、室温だけを見て施工可能と判断しないことが大切です。
一方、下地表面温度だけで判断することもできません。室温、湿度、下地の状態、材料の保管条件を合わせて確認します。
施工可能な温度は、使用する製品の施工要領に従います。「すべてのPタイルは5℃を超えれば施工できる」といった一律の判断はしません。
施工環境は、貼り始める前から整える
低温が予想される場合は、施工前から室内環境を整え、床材や接着剤もメーカー指定の条件で保管・順応させます。
下地表面の温度確認には、放射温度計などを使用する方法があります。ただし、測定器の条件や測定位置によって値が変わるため、取扱説明書に従って確認します。
バーナーなどの直火で床や接着剤を局所的に加熱する方法は、一般的な対策として勧めません。火災や材料の損傷につながるおそれがあり、火気厳禁の接着剤もあります。
指定された環境を確保できない場合は、無理に施工せず、工程や使用材料について関係者と調整します。
待ち時間は「長めに取れば安心」ではない
接着剤には、塗布してから貼り始めるまでの待ち時間と、貼り付けが可能な時間があります。用語や条件は製品によって異なるため、施工要領を確認します。
低温などによって乾燥が遅れる場合でも、単純に時間を延ばせばよいわけではありません。
早すぎる貼り付けだけでなく、貼付可能時間を過ぎた施工も、接着不良の原因になります。
塗布量、下地の吸水性、温度・湿度、通風などを踏まえ、製品が指定する状態と時間を確認します。
貼り付け後の圧着方法や実施時期、通行や重量物搬入を再開できる時期も、合わせて管理します。
参考:東リ「プラスチック系床材・カーペットの施工と監理」(PDF)↗
古い床を剥がす前に、石綿の事前調査を確認する
既存の床材や接着剤には、石綿(アスベスト)が含まれている場合があります。
見た目や建物の印象だけで判断し、剥がす・削る作業を始めないことが重要です。
建築物の解体・改修では、法令に基づく事前調査を行います。建築物石綿含有建材調査者など、必要な要件を満たす者が、書面や現地の状況を確認します。
石綿の有無を判定できない場合は、分析調査を行うか、含有しているものとみなして必要な措置を講じる方法があります。試料採取を含め、調査や施工の担当者と手順を決めます。
二重張りの場合は、表面の床材だけでなく、改修対象となる下層の床材や接着剤も確認範囲に含めます。
参考:厚生労働省「小規模工事等の着工前に必要な手続きについて」↗
Pタイルが二重張りだった場合、どう判断するか
改修履歴のある建物では、既存の床材の上に、さらに床材が貼られている場合があります。
上の1層だけを撤去する予定でも、下の層が浮いていたり、一緒に剥がれたりすると、そのまま仕上げることはできません。
一方、二重張りという理由だけで、必ず2層とも撤去すると決めるのも適切ではありません。
既存床の接着状態、下地の健全性、石綿調査の結果、新しい仕上げ材の施工条件を踏まえ、撤去範囲を判断します。
下層に浮きや劣化がある場合などは、健全な下地まで撤去する必要があります。残す場合も、その上に施工できる条件を満たしているか確認します。
部分改修では、残す床との境界を先に決める
上下の床材で目地の位置が異なると、上層の目地に合わせて撤去しただけでは、下層や残す部分に影響が及ぶことがあります。
新しい床の割り付け、撤去する範囲、既存床との取り合いを事前に確認します。境界から逃がす寸法は、一律に30〜50mmとせず、現場の納まりに応じて決めます。
撤去後の段差は実測し、適した補修材で調整する
2層を撤去したからといって、段差が必ず4mmになるわけではありません。床材や接着剤の厚さ、下地の不陸によって変わります。
撤去後の高さを測り、必要な補修厚さに適した下地調整材を選びます。製品の適用厚さ、プライマーの要否、乾燥・硬化条件を確認し、床材を施工できる状態まで整えます。
エレベーター乗場前では、仮囲いと床改修の順序を決める
乗場前の床改修では、仮囲いの位置と、搬入経路の養生が施工に影響します。
ZEVIONでは、床保護に12mmの合板を用いる基準があります。ただし、現場の荷重や既存床の条件に応じた確認が必要であり、厚さだけで安全性を判断するものではありません。
床改修を進める際は、保護材をどの範囲で外すのか、仮囲いをいつ撤去するのかを、先に計画します。
- 床の施工範囲に合わせて、養生材を部分撤去できるか
- 養生材を加工する際、既存床を傷つけない方法を取れるか
- 埋戻しや補修の材料が、既存床や養生の下へ入り込まないか
- 仕上げ高さが、乗場の敷居や周囲の床と適切につながるか
- 接着剤や補修材の養生時間を確保できるか
仮囲い撤去後に施工する場合も、利用者の通行をどう分けるか、必要な区画・表示・誘導方法を検討します。カラーコーンを置くだけで十分かどうかは、現場の利用状況によって判断します。
通行や台車の使用を再開する時期は、見た目の仕上がりだけでなく、材料の指定条件を満たしているか確認して決めます。
床の仕上がりは、貼る前の確認で変わる
温度、下地、接着剤、既存床の状態、撤去範囲、通行再開までの工程。
Pタイルの改修は、床材を貼る作業だけで完結しません。
剥がれを防ぐためには、施工前の条件確認と、施工後の養生までを一続きで考えることが大切です。
ZEVIONは、エレベーター更新の前後工程や建物の利用状況も踏まえ、付帯建築工事の仕上げを計画しています。
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