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エレベーター工事の仮囲い|固定・転倒対策と動線計画【#1】

エレベーター乗場前に設置された、出入口付きの工事用仮囲い

エレベーター更新工事の仮囲いは、建物の利用者が通る場所と、工事エリアを区切るための設備です。

設置や管理が不十分な場合、仮囲いの破損・転倒、利用者や搬入物との接触、工事区域への立ち入りなどにつながるおそれがあります。

大切なのは、壁を立てることだけではありません。固定する場所の条件と、囲いの外側・内側で起こる動きを、設置前に確認することです。

#1では、エレベーター付帯建築工事の現場経験をもとに、仮囲いの固定・転倒対策と動線計画のポイントを整理します。

目次

仮囲いは、建物側と作業側の両方から計画する

仮囲いの内部を広く確保できれば、作業や資材の取り扱いに余裕が生まれます。

一方、実際の現場では、建物の利用者が通る経路や避難経路、出入口などを確保する必要があります。作業の都合だけで囲いを広げることはできません。

そのため、建物を使う人の安全と、工事に必要な作業空間を両立できるかを検討します。

同じ建物でも、各階のホール形状や利用状況が異なることがあります。1か所の寸法を、そのまますべての階に当てはめないことが大切です。

固定方法は、天井や壁の条件を確認して決める

仮囲いの固定方法は、使用する工法・製品と、既存の天井・壁・床の条件に応じて検討します。

現場では、下地への固定や突っ張りを利用する方法が検討されることもありますが、どの天井にも同じ方法が使えるわけではありません。

  • 固定先の下地の種類・位置・状態を確認できるか
  • 想定する力を、固定先と仮囲い全体で受けられるか
  • 既存の仕上げや設備を損傷しないか
  • 穴あけや固定について、建物管理者の了承が得られているか
  • 工事終了後の撤去・復旧方法が決まっているか

仕上げ材にビスが入っただけで、必要な固定ができたとは判断できません。また、突っ張りによって天井材や下地を押し上げ、損傷させるおそれもあります。

固定先の条件が分からない場合は、その場の工夫だけで済ませず、施工責任者や関係者と確認して方法を決めます。

吹き抜けなど、上部で支持できない場所

吹き抜けのエレベーターホールなどでは、通常の天井高さで上部を支持できない場合があります。

このような場所は、壁を立てるだけで成立すると考えず、自立性や支持方法、転倒への対策を含めた計画が必要です。

仮囲いの高さ、長さ、開口部、扉の開閉、周囲の通行などを踏まえ、必要な安定性を確認します。

仮囲いを資材の立て掛け場所にしない

狭い工事区域では、足場材や設備部材を仮囲いに立て掛けたくなる場面があります。

しかし、仮囲いを資材の支持物として使うことを前提にしてはいけません。資材の荷重や倒れ込みが、囲いの破損・転倒につながるおそれがあります。

資材の置き場、保管方法、搬入する量やタイミングを計画し、作業空間を圧迫しないようにします。

人や搬入物が偶発的に接触する可能性についても検討しますが、それは立て掛けや寄りかかりを許容するという意味ではありません。

外側の動線――通行・避難・扉の開閉を確認する

エレベーター乗場前では、仮囲いを設置した後に、利用者がどのように通るかを確認します。

  • 建物の利用条件や必要な基準に応じた通路が確保されているか
  • 避難経路や既存の出入口を妨げていないか
  • 仮囲いの扉を開けたとき、通行者と接触しないか
  • 車いすや台車などの通行を考慮しているか
  • 曲がり角や囲いの端部に、接触しやすい場所がないか

現場によっては、階ごとに仮囲いの寸法を変えたり、一部を斜めに配置したりする調整も検討します。その場合も、囲い全体の安定性と内側の作業空間を合わせて確認します。

内側の動線――実際の作業と搬入を想像する

外側の通路を確保できても、内側で必要な作業が安全に行えなければ、計画を見直す必要があります。

  • 三方枠周辺の斫りなどで、工具の操作範囲と作業姿勢を確保できるか
  • 作業に適した足場や作業台を設置できるか
  • 資材・撤去材を移動させる経路があるか
  • 仮囲いの開口位置・寸法が、搬入する部材に合っているか

レール、かご部材、三方枠などは、長さや形状、取り扱い方が異なります。開口部の幅だけでなく、搬入時に向きを変える空間も確認します。

搬入のために仮囲いを一時的に開放する場合は、その間の通行者の誘導、立入管理、復旧まで含めて計画します。

設置後も、固定と扉の状態を確認する

仮囲いは、設置した時点だけでなく、使用中の状態を保つことも重要です。

作業開始前や大きな搬入の後などに、固定部の緩み、傾き、破損、扉の開閉状態を確認します。異常があれば、そのまま使い続けず、影響する範囲への立ち入りを管理して補修・再確認します。

仮囲いは「立てて終わり」ではなく、工事期間を通じて安全に区切るための設備です。

次の#2では、粉じん・溶接ヒューム・騒音など、建物を利用しながら工事を進める際の配慮を解説します。

▶ 続きを読む:仮囲いの粉じん・騒音対策と建物利用への配慮【#2】


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