【重要】サンダー事故の原因と対策を解説 → 記事を見る

エレベーター更新工事はなぜ複雑なのか――付帯建築の構造的課題【EP1】

エレベーター更新工事における構造的課題を解説するゼヴィオン創世記EP1

EP0では、エレベーターが単なる設備ではなく、都市を支える「縦の交通インフラ」であることをお話ししました。

そのインフラを使い続けるために欠かせないのが、エレベーター更新工事です。

しかし、ここで一つの疑問が生まれます。

高度な技術を持つメーカーが存在する業界で、なぜ現場の工程調整には、これほど多くの手間がかかるのか。

私が現場で感じてきたのは、製品の技術力だけでは解決できない、施工体制の課題でした。

今回は、付帯建築工事の分業と、その間で生まれる工程・情報の分断について掘り下げます。

▶ 前回を読む:エレベーターは「縦の交通インフラ」である。【EP ZERO】

目次

エレベーター更新工事はなぜ複雑なのか?

エレベーター更新工事で複数の専門業者が関わる現場イメージ
更新工事では、施工範囲や担当に応じて、複数の専門業者との工程調整が必要になります。

エレベーター更新工事には、普段利用するだけでは見えにくい特徴があります。

それは、エレベーター本体の交換に加えて、周囲の建築部分にも工事が必要になる場合があることです。

例えば、既存の壁や床を撤去する。コンクリートを斫る。新しい設備に合わせて下地をつくり、仕上げを復旧する。

付帯建築工事には、現場の条件に応じて、次のような作業が含まれます。

  • 仮囲いや養生の設置・撤去
  • 壁・床など建築部分の解体や斫り、補修
  • 大工・LGS・ボード工事
  • 防火区画に関わる復旧工事
  • 塗装・内装仕上げの復旧
  • ピットの防水・止水処理
  • 関連する鉄骨や電気設備の工事

すべての現場で、すべての作業が発生するわけではありません。施工範囲や担当は、建物の条件、更新方法、契約内容によって異なります。

また、ここでいう建築部分の解体は、エレベーター本体の解体とは区別して考える必要があります。

つまり、更新工事を進めるには、機械側の作業と建築側の作業、その前後関係まで見通した連携が必要なのです。

メーカーの技術力だけでは解けない、現場の調整

エレベーターメーカーは、設計・製造・保守など、それぞれの領域で高度な技術と知識を蓄積しています。

一方、更新工事の現場では、製品の性能とは別に考えなければならないことがあります。

誰が、いつ、どこまで施工するのか。

前の作業が終わったら、次の業者がすぐに入れるのか。施工条件に変更があったとき、その情報が関係者に届いているか。

メーカーや工事会社、協力会社の役割分担は案件によって異なりますが、複数の担当者が関わる現場では、こうした確認と調整が欠かせません。

製品の技術力が高ければ、自動的に現場の連携も整うわけではない。

ここに、施工体制そのものを考える必要があると感じています。

分業が「分断」に変わるとき

もちろん、分業そのものが悪いわけではありません。

それぞれの専門家が技術を発揮することは、品質や安全を支える大切な仕組みです。

問題は、工種が分かれることに加えて、工程や情報まで途切れてしまうことです。

例えば、次のような場面です。

  • 前工程の完了条件が共有されず、次の作業に入れない
  • 現場で変更した内容が、後から入る業者に伝わっていない
  • 工事の境目にある作業について、担当が決まっていない
  • 小さな追加作業にも、改めて職人の手配や日程調整が必要になる

一つの確認不足や工程の遅れが、後続の作業にも影響することがあります。

そして、その間をつないでいるのが、現場を統括する担当者です。

実際に現場で仕事をしてきて、私は何度も感じてきました。

「工事を統括する担当者ほど大変な人はいない」

施工そのものだけでなく、人と工程と情報をつなぐ。その負担を、付帯建築側から減らせないだろうか。

私たちの問題意識は、そこにあります。

付帯建築工事という「空白地帯」

エレベーター更新工事では、機械そのものに注目が集まりがちです。

しかし、その周囲で行われる建築工事も、更新を進めるために欠かせない役割を担っています。

エレベーターリニューアル工事の仮囲いを表したイメージ
仮囲いの内側では、機械側と建築側の作業が、工程に合わせて進められます。

私が「空白地帯」と表現するのは、付帯建築工事を担う人がいないという意味ではありません。

それぞれに専門家がいても、工種と工種の間を誰がつなぐのかが曖昧になりやすい。

その隙間に、現場の調整や判断が積み重なっていくことを指しています。

もし、付帯建築側の工程を一続きで考えられたらどうだろう。

もし、次の工種が必要とする状態まで見通して施工できたらどうだろう。

もし、メーカーの担当者が、細かな建築側の手配や調整に追われる時間を減らせたらどうだろう。

その問いが、ZEVIONの統合施工につながっています。

分断から統合へ――付帯建築工事をつなぎ直す

ZEVIONが掲げる統合施工は、分業されてきた付帯建築工事を、一連の施工として組み立てる取り組みです。

作業を工種ごとに切り離すのではなく、着手前の確認から、各工程の引き継ぎ、仕上げの復旧までを見通す。

複数の工種を理解する技術者を育て、施工範囲と役割を明確にしながら、付帯建築側の連携を整えていく。

目指すのは、単に作業をまとめることではありません。

もっと合理的に。
もっと安全に。
もっとシンプルに。

現場で必要な確認や管理を大切にしながら、重複する調整や伝達の行き違いを減らすことです。

私たちは、付帯建築工事の専門性を通じて、メーカーや関係会社がそれぞれの力を発揮しやすい現場を支えたいと考えています。

TVEは、ZEVIONの3つの事業領域

エレベーター更新工事の連携を表現したコンセプトイメージ
TVEは据付・解体・付帯建築の3事業領域。統合施工は、付帯建築部門で取り組む施工の考え方です。

私たちは、建築工事会社としてスタートしました。

その経験を土台に、ZEVIONはエレベーター更新を支える3つの事業領域に取り組んでいます。

  • 据付:エレベーターの据付工事
  • 解体:既存エレベーターの解体工事
  • 付帯建築:更新に伴う建築側の工事

この3事業領域を示すのが、TVE(Total Vertical Engineering/トータル バーティカル エンジニアリング)です。

そして、付帯建築部門で進めるのが、工種や工程をつなぐ統合施工です。

3つの事業領域それぞれの専門性を磨きながら、都市の縦の交通インフラを支えていく。それがZEVIONの方向性です。

▶ ZEVIONのTVEと、付帯建築部門の統合施工を見る

次回、付帯建築工事になぜ統合施工が必要なのか

現場の課題を、担当者の努力だけに委ねない。

一つひとつの専門技術を大切にしながら、その間をつなぐ施工体制をつくる。

そのためには、付帯建築工事の特性を、もう一段深く理解する必要があります。

次回のEP2では、付帯建築工事になぜ統合施工が必要なのか。そして、それを支える専門部隊と教育の考え方についてお話しします。

▶ 続きを読む:エレベーター付帯建築工事になぜ統合施工が必要なのか【EP2】


関連する技術コラム

▶ エレベーターピット防水とは?止水との違いと更新時の注意点

▶ 仮囲いが適当だと何が起きる?事故につながる落とし穴

▶ 養生不足でクレームになる原因と、現場でよくある失敗

▶ 技術コラム一覧を見る


ゼヴィオン創世記

ZEVIONはなぜ生まれたのか。

エレベーター更新工事の構造的な課題と、付帯建築工事という専門領域。私たちの挑戦を綴るストーリーシリーズです。

ゼヴィオン創世記をnoteで読む ↗(別タブで開きます)

付帯建築工事のご相談は、お問い合わせページ、または代表直通の公式LINEからお寄せください。

エレベーター更新工事における構造的課題を解説するゼヴィオン創世記EP1

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアお願いします!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次