【重要】サンダー事故の原因と対策を解説 → 記事を見る

2-4|エレベーター工事はなぜ工程調整が難しいのか?上下作業の危険と縦の空間の制約

エレベーター工事の工程調整と作業空間の制約を伝えるイメージ

「工期が厳しいなら、人を増やして一気に進めればよいのでは?」

工事の計画では、そう考えたくなる場面があります。しかし、エレベーター工事では、人員を増やしても同時に作業できる範囲が広がるとは限りません。

その理由の一つが、上下につながった昇降路という空間の制約です。

上階と下階で別々に作業しているつもりでも、工具や資材の落下、設備の動き、搬入経路などを通じて、互いの作業が影響します。

この記事では、エレベーター更新工事の工程調整が難しくなる理由と、付帯建築工事の計画で大切にしたい考え方を解説します。

目次

違う階でも、同じ空間を使っている

一般の建築工事では、作業場所を部屋や区画で分け、複数の工種を並行して進められる場合があります。

一方、エレベーターの昇降路は、複数階を縦につなぐ空間です。作業する階が違っていても、上下が独立した作業場所になっているわけではありません。

上方での作業が下方の作業者へ影響する。搬送中の部材が別の作業範囲を通過する。共通の設備や作業床を使う。このような関係を、工程計画に織り込む必要があります。

階ごとに予定を組むだけでなく、昇降路全体で何が行われるかを見る。これが縦の工事を計画する出発点です。

上下同時作業は、なぜ危険なのか

上方から落ちる可能性があるのは、大きな資材だけではありません。工具、ボルト、撤去片なども、下方に人がいれば事故につながります。

また、上下の作業者は互いの姿を確認しにくく、作業音によって声が届きにくい状況もあります。相手がどこにいて、何をしているのかを、思い込みで判断することはできません。

そのため、落下物などの危険が及ぶ上下の作業を重ねないことを基本に、作業範囲と時間を調整します。具体的な禁止範囲や立入管理は、メーカー・元請の安全基準と現場の施工計画に従います。

声を掛けたからよい、短時間だからよい、という判断ではなく、危険な組み合わせが発生しない工程をつくることが重要です。

前の作業が終わらないと、次へ進めない工程がある

エレベーター更新工事には、前工程の完了を条件として次の工程へ進む作業があります。こうした、順番につながる関係を、ここでは「直列工程」と呼びます。

例えば、乗場まわりの工事には、次のようなつながりが考えられます。

  1. 対象となる既存部分を撤去する
  2. 露出した下地や開口部の状態を確認する
  3. 据付前に必要な補修・調整を行う
  4. 新しい機器や枠の据付を行う
  5. 周辺の壁・床を復旧し、仕上げる

これは工程のつながりを示す一例です。実際の順序や施工範囲は、更新方法、既存部材の再利用、機器の仕様、現場条件によって変わります。

重要なのは、個々の作業時間だけでなく、次の作業を始めるために何が整っている必要があるかを把握することです。

人を増やしても、工期が比例して短くならない理由

作業場所が限られていると、人員を増やしても安全な作業位置や資材置き場を確保できない場合があります。

さらに、下地の確認、関係者との協議、補修材の養生など、人手を増やすだけでは短縮できない時間もあります。

必要な条件が整う前に次の職人を集めても、作業待ちが増えるだけになりかねません。

人員計画では人数だけでなく、担当する作業、必要な資格・技能、安全に作業できる範囲、前工程の完了条件を合わせて考えます。

工程表には「誰が・どこで・何をするか」を入れる

「午前は解体、午後は補修」という大きなくくりだけでは、現場の干渉を見落とすことがあります。

工程の調整では、次の内容を関係者で共有します。

  • 作業する階と、使用する範囲
  • 上方・下方への影響と、立入を制限する範囲
  • 機器や揚重設備の使用予定
  • 資材の搬入・搬出経路と、一時保管場所
  • 建物利用者の通行や、他工事との干渉
  • 作業完了の確認者と、次の担当者への連絡方法

特に、予定変更を一部の担当者だけで処理すると、他の作業との関係が崩れることがあります。変更時は、その影響範囲まで確認して共有する必要があります。

待ち時間を減らすために、先にできることを整理する

順番を守る必要があるからといって、すべての準備まで直列に進める必要はありません。

図面や仕様の確認、材料の手配、搬入時間の調整、作業範囲の共有など、現場作業の前に整えられることがあります。

また、現地寸法が確定し、仕様上も可能な部材は、事前加工を検討できます。ただし、撤去後の確認が必要な部分まで、推測で寸法を決めることは避けます。

短縮したいのは、安全確認や必要な養生ではなく、準備不足による待ちと手戻りです。

付帯建築工事の統合施工で、工程の受け渡しを整える

付帯建築工事には、仮設、補修、下地造作、塗装、防水、床仕上げなど、複数の工種が関わります。

それぞれの専門性を生かすためにも、担当範囲の間で情報が途切れないようにすることが重要です。

ZEVIONが考える付帯建築工事の統合施工は、建築側の複数工種を、前後の工程と納まりまで含めてつなぐ取り組みです。

統合施工によって、上下作業の制約や材料の養生時間がなくなるわけではありません。制約を理解したうえで、準備、施工、確認、引き渡しをつなぎやすくすることを目指します。

なお、据付・解体・付帯建築という3つの事業領域を示すのが、ZEVIONのTotal Vertical Engineering(TVE)です。統合施工は、そのうち付帯建築部門における取り組みです。

縦の工事では、作業の速さと同じくらい順序が重要

エレベーター工事の工程は、人数と作業時間だけでは決まりません。上下につながる空間、安全に作業できる範囲、前工程の完了条件などが関係します。

一つの作業を急ぐことが、工事全体を早めるとは限りません。その先で手戻りや待ちが発生すれば、全体の進行に影響します。

次の人が、安全に、予定どおり作業を始められる状態をつくる。その積み重ねが、縦の工事を円滑に進めるための土台になります。


関連記事・ご相談

シャフト補修・開口部調整とは?据付と仕上げをつなぐ付帯建築工事 →

ZEVIONの3つの事業領域と付帯建築工事の統合施工 →

エレベーター付帯建築工事について相談する →

この記事は工程計画の基本的な考え方を解説したものです。実際の作業では、現場ごとの施工計画、安全基準、メーカー・元請の指示に従ってください。

エレベーター工事の工程調整と作業空間の制約を伝えるイメージ

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアお願いします!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次